about 学会について
メッセージ 日本皮膚病理組織学会 理事長あいさつ
日本皮膚病理組織学会理事長
大阪公立大学大学院医学研究科皮膚病態学 鶴田 大輔
令和3年度から理事長職を拝命致しました鶴田大輔と申します。COVID-19拡大に伴い、大変難しい時期ではございますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。安齋前理事長の早期のご勇退でその後を引き継ぎました。
本学会に初めて参加したのは、おそらく入局3年目のまだまだ知識の乏しい時でした。そもそも自分で病理診断をする機会などなく、それなのに、全施設からの難しい症例のスライドがドカンと送られてきて、面食らったものです。その当時の教員の人を捕まえて教えてもらったことが懐かしいです。その時まで教員の先生方の真の実力を見る機会がなかったので、「この先生よくわかってるな。この先生は実は全くできない人だな。」という値踏みをすることもできました。学会では、本当に知識量の凄い先生方にただただ圧倒されました。私の症例は、海外の偉い先生から「Pseudoglandular SCC」と診断されていたので、抄録ではそのように書きました。しかし、発表前に準備していると、見れば見るほどMerkel細胞癌に見えました。しかし、入局3年目の私には診断を変える勇気などありませんでした。発表1週間前に当時の上司が、「XX先生が市大の症例みてMerkelちゃうかと言ってたよ」と教えて下さいました。これで発表日にはMerkel細胞癌として報告しました。しかし、当時Cytokelatin-20の染色は普及しておらず、電顕でDense core granulesを見るしかありませんでした。数回、上司が電顕をしてくださいましたが見つけることができませんでした。学会当日、「Dense core granulesは見つけることができませんでした」と言うと、フロアの重鎮の先生が「何回見たのですか?この症例は絶対にMerkelです。見つかるまで見てください」とお教えくださいました。その後、臨床の合間を見つけては電顕観察しました。数カ月後ついに見つけることができました。そして、私の初めての英文論文になりました。
この当時、私はまさか、この学会の理事長に将来就任するとは思っていませんでした。単に、恐ろしげな学会と思っただけでした。しかし、上記のエピソードからは本学会が私の皮膚科医人生に大変大きな役割を果たしたことは間違い無いと思います。熊切先生、山元先生、安齋先生が一部のマニアの人のみが楽しむ学会という性質を転換し、今は一人でも多くの若者の、研究・臨床に対する大きな教育の場となりました。私の理事長としての使命は、この皮膚科学における芳醇な知的空間を、できるだけ大きく広げ、発展させること。そして、ピラミッドのように、若い世代を多く求め育てていくことと思います。近年、研究に直結しないテーマは若者を惹きつけることができませんでした。しかし、最近は、研究における若者のモチベーションの低下が嘆かれています。このことは憂うべきことではありますが、本学会にはチャンスかもしれません。皮膚科の伝統芸能に若者を回帰させ、それを元に研究を発展させるというフィールドが広がるのではないかと思っています。
安齋前理事長のやり残しのお仕事として「一般社団法人化」「規約の改定」があることを私に指示くださいました。このため、これを任期中に成し遂げることが私の第一の使命であると思います。また山元元理事長からは「学会の国際化」を言われています。このため、私のもう一つの使命として、「国際的にアピールできる施設間共同研究」を任期中に成し遂げたいと思っています。「研究」「国際化」と並ぶ学会のもう一つのタスクは「財政基盤」の確立です。これについては山元元理事長がかなりがんばってくださり、安齋前理事長が発展してくださいました。私はこの良好な財政基盤を維持することも使命と致します。COVID-19下ではこのことは実は大変な命題ではありますが、種々工夫しながら頑張ろうと思います。
私一人では何もできません。理事の先生方、会員の先生方のお力をお借りし、頑張っていこうと思います。忌憚のないご意見お待ち申し上げます。
学会などでお目にかかれますことを楽しみにいたしております。
令和3年7月
歴代理事長 池田重雄名誉教授
日本皮膚病理組織学会創設者のお一人で初代理事長でもある池田重雄名誉教授
歴代理事長(2000年度以前の称号は幹事長)
- 1985~1997年度 池田重雄(埼玉医大皮膚科)
- 1998~2004年度 小野友道(熊本大皮膚科)
- 2005~2012年度 熊切正信(福井大皮膚科)
- 2013年度~ 2017年度 山元 修(鳥取大皮膚科)
- 2018年度~2020年度 安齋眞一(日医大武蔵小杉皮膚科)
- 2021年度~ 鶴田大輔(大阪公立大学皮膚科)
* なお学会の名称は、「皮膚の病理組織同好会」を母体に、1985年から「日本皮膚病理組織研究会」、1989年から「日本皮膚病理組織学会」と変遷している。
組織図 日本皮膚病理組織学会 組織図
理 事 長 | 鶴田大輔(大阪公立大学) |
---|---|
副理事長 | 常深祐一郎(埼玉医科大学) |
理 事 |
|
名誉会員 | 新井栄一、安齋眞一、小野友道、北村啓次郎、木村俊次、清島真理子、熊切正信、斎田俊明、清水宏、高田実、田上八朗、土田哲也、中村絹代、本間真、三木吉治、三原基之、山元修(五十音順) |
監事 |
|
事務局長 | 後藤寛之 |
プログラム担当 | 石河晃、清原隆宏、種瀬啓士 |
推薦担当 | 常深祐一郎 |
IT担当 | 種瀬啓士 |
若手研究推進 プロジェクト担当 |
伊東孝通、杉田和成、小川浩平 |
規約担当 | 浅井純 |
国際関係担当 | 河野通浩、鶴田大輔、皆川茜 |
学会賞担当 | 常深祐一郎 |
若手育成担当 | 浅井純、古賀佳織、高井利浩、田中麻衣子、藤田靖之、山田七子、草志衆頭 | 病理学会連携担当 | 谷本昭英 |
(五十音順)令和6年7月
概要 日本皮膚病理組織学会 概要
正会員数 | 420名(2018年8月1日現在) |
---|---|
名誉会員 | 11名 |
学会誌発行 | 現在廃刊。 |
年次学術大会 |
|